先日、中国の3DCGアニメ映画「白蛇:縁起」を鑑賞した。映像の美しい映画を観たくなり、細田守監督の「竜とそばかすの姫」と悩んだが、「竜・・」は脚本の評判が今一つ。そこで「白蛇:縁起」に。
正直、中国のアニメ制作のクオリティ、現状にも興味があった。
作品の制作概要
この作品は2019年に中国で、公開された作品で中国のアニメ史上ナンバー1のヒット作らしい(興行収入70億円超)。総製作費は約8000万元(約13.7億円)。
制作に関しては、キャラクターのリアリティと映像美を徹底的に追及するために約170名ものスタッフを動員。
ストーリーライティングを含めたプリプロダクション(準備作業全体)には、約3年前から、背景やポストプロダクション(撮影完了後の作業)には、約2年を費やした作品ということだった。中国の総力を挙げての制作に近いのではないだろうか。
ストーリー
ストーリーは、中国の民間伝説「白蛇伝」をもとにしたものらしい。唐時代後期を舞台に、千年の修行を積んだ白蛇(ハク)と人間の男性とのラブストーリーを展開すると同時に、唐の国司(権力者)と蛇族及び村人たち(非権力者)の戦い展開する。雰囲気的には、「アナと雪の女王」と「千と千尋の神隠し」彷彿とするような場面や演出もあり、オーソドックスで見やすいエンターテイメント作品に仕上がっている。
映像は鮮やかで繊細かつ流麗、素晴らしかった。この作品は、若者に中国の魅力や伝統を伝えたいという思いから、唐時代後期の資料を使用して、衣装や建築物、生活習慣なども調査している。その調査結果を踏まえた上で、水墨画や船、山々、傘、かんざし、服、人物の動きなどから、中国絵画を連想できるようにも心掛けていると。そして3Dだけではなく、冒頭の水墨画の動画のようなシーンは、古典的イメージを創出するために敢えて2Dで制作。私の鑑賞した印象では、背景、人物の髪や衣服、小物(かんざし)の繊細な質感と動き、水の表現など本当に素晴らしかった。アングルはさりげなく工夫をしているため、「シン・エヴァンゲリオン」のような強引に生み出したようなあざとさがない。(注:エヴァファンです)迫力あるアクションシーンも好評のようであるが、キャラクターが人形に見えてしまう場面もあり、そこは少し粗削りのようにも思えた。
何はともあれ、中国の総力で仕掛けてくる中国アニメの台頭に対し、日本アニメの危機を感じずにはいられなかった。
youtubeの「白蛇:縁起」公式チャンネルには作品冒頭の8分がUPされています。とても美しいです。(下記の動画よりそちらのほうが素晴らしさがわかります)リンクが貼れませんので、興味のある方は検索してみてくださいね。