先日は久しぶりに美術館に足を運んだ。その展示とは、京都市京セラ美術館で開催中の「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」展である。関西地方はコロナ禍の緊急事態宣言~蔓延防止へと移行期であり、鑑賞は予約者優先処置だったので、来場者数も少ないのでは?と楽観視しながら足を運んで驚いた。会場内は、普段の大型企画展並みの人で溢れかえり、展示の面白さと同時に気のゆるみもあるのか、談笑する人々の姿もちらほら。予約者の人数をもう少し絞って欲しかったが、企画展費用の回収面などを考えると致し方ないのかもしれない。
それはさておき、展示は初心者や美術館が苦手な人にも楽しめるような工夫があちらこちらで見受けられた。まず、美術館の大型企画展にしては、文字情報が圧倒的に少ない。古代エジプト神話などの展示背景は、神話のキャラクターを使ったアニメーションでわかりやすく解説するので、興味のなかった人や子供たちもおそらく親しみがわく。またこの展示はいくつかのブースで区切られているが、そのブースでの展示もただ置くだけでなく、飽きたころにちょっとした動画を交えるなど遊びも入れている。キャプションは短い完結な情報のみにしているので煩わしさがない。(展示内容を詳しく知りたい方はイヤホンガイドのレンタルをお勧めする。)そして展示品は撮影OKなので館内は撮影を楽しむ人で溢れていた。
今回の展示品の特徴の一つは、彫刻・絵画などすべてにエジプト周辺の昆虫や動物・鳥類などが登場し、崇められている点が挙げられると思う。私にとっては大好きな古代中国の青銅器の模様を彷彿させられ楽しかった。中には虫(フンコロガシ)と神の合体像などがあり、動揺してしまったが、像そのものは、とてもおだやかな表情でほんとうに美しかった。もう少し人が少なければ、もう一度ゆっくり足を運びたかった。
パレメチュシングのミイラマスク(ローマ支配時代 後50~後100年ごろ)
創造の卵を持つスカラベとして表現された原初の神プタハ (前746~前655年ごろ)
ハシェブスト女王のスフィンクス像 (前1479~前1458年頃)