最近は忙しさもあり映画を観る機会も少なくなった。そんななかSNS上での口コミが目に留まり、すこし前ではあるが、久し振りに観た映画が「シン・エヴァンゲリオン劇場版」である。
そもそも、私自身この作品は全く観たことがない。
仕方なく鑑賞前に、慌てて解説・考察動画を観たのだった。
そこで関心したのが解説や考察で既に楽しめたこと。(岡田斗司夫の解説などは面白い。)この作品は、ロボットアニメでありながら、その背景にはキリスト教を含む宗教、心理学、哲学(思想)、倫理、社会学、視覚文化論などなど多岐にわたる考察の切り口を持っているのである。このような多岐にわたる考察を可能とする作品は、今日の日本映画界では少ないのではないか?と思った。(ましてや、日本の写真業界では・・・。)
しかも、その広がりあるストーリーは、セリフとカットで骨格をところどころ見せながらも、全体は見せきらない。あくまで曖昧なのである。その白黒はっきり語らない見せ方や「間」は、中庸で東洋的ともいうべきか。
作品そのものは、色彩構成が美しい場面が多く、構図はあざといまでに凝っている。物語といえば緩急があり、飽きずに長時間楽しむことができる。戦闘シーンなどはアミューズメントパークのアトラクションのなかにいるかのような臨場感とともにCGなど最新の技術も駆使されており、現代アートの作品を彷彿とさせる場面もある。またこの作品はセリフとカットの「間」に工夫がみられるのか、シリアスなシーンは、セリフが心に沁みる。
とにかく珍しく感動してしまい、現在に至るまでに2度映画館に足を運んでしまった・・。
鑑賞される場合、前作の『序』『破』『Q』の鑑賞後のほうがより楽しめます。