No.2 中川幸夫 「俎上の華」@両足院(建仁寺内)ふとした時、自然と同化したい衝動に駆られてしまう。
それは死後を意味するのか或いは現在なのか。
我々はからだが朽ち、血が大地に還ったとき、はじめて大地と一つになれるのだろうか?
中川幸夫の作品を目の前にして、ふとそんなことを思い出していた。
華道家である中川幸夫(1918〜2012)は、太平洋戦争後の日本の虚飾表現に疑問を感じ、花の生から死までを生けきろうとした。彼は六畳一間のアパートで暮らし極貧の生活の中、花を生けて暮らした。
写真は親交のあった土門拳の影響が大きい ようだ。
*片桐功敦(テキスト参照)
今回の展示は、そんな中川幸夫の写真に華道家である片桐功敦がキュレーションとして加わると共に、自らも会場をプロデュースしている。
創り出された空間は、五感を誘い、生と死の境界をそっと外す。そして我々もその地へと、静かに誘われているかのようにも思えてきた。