先日、久しぶりに東京へ足を運んだので、泉屋博古館の「木島櫻谷」展を鑑賞してきた。
泉屋博古館とは、住友財閥のコレクションを展示する博物館で、特に中国の古代青銅器のコレクションは世界有数の質と量を誇る。(個人的には本館の方がのんびり出来て好き)
今回展示の木島櫻谷(このしま おうこく 1877〜1938)は、明治から昭和にかけ活躍した丸山・四条派の流れを汲む日本画家。住友家が依頼した華麗な屏風絵の展示が中心で、華麗な美しさのなかに静謐さが寄り添い、画家の誠実な人柄も滲み出た展示だったと思う。
ただ、今回の展示を鑑賞して一番心に引っかかってしまったのは、同年代に活躍した日本画家の展示スペースでの花鳥絵の内容だったような気がする。明治から大正にかけての日本画の表現の変貌ぶりと言うべきか。
明治以前の日本と言えば、中国から伝わる山水画の流れを取り入れた花鳥画が残っており、描かれる鳥や草花に吉祥などの意味があったそう。それが明治維新後の日本画で徐々に消えてゆく。草花からは伝統ではなく西洋からのポエムが聞こえ始めると言う現象。時代が変わってしまったのだから、、と言えばそれまでだろう。ただそうした風は新鮮で心地よいのかも知れないけれど、大事な何かも失ってしまいそう。気をつけないと。。