KYOTO GRAPHIE ラファエル・ダラポルタの展示は、約36,000年前に描かれた人類史上最古の壁画が残る、フランスの”ショーヴェ洞窟”を撮影した作品。
2014年、通常非公開のこの洞窟壁画を撮影する写真家を選ぶコンペが開催された。
ラファエル・ダラポルタは、このコンペでグランプリを獲得し、撮影の許可を得たのだ。
ここで撮影は特別に許可された訳だが、撮影そのものは非常に困難を極めたに違いない。
何故なら、この洞窟は保護の為、年間200時間しか入り口を開けられないと言うのだ。しかも一回の洞窟滞在時間は撮影時間も含め2時間と決められていた。
この作品は数回の撮影時点でのものだという。
驚くのは作品のクォリティの高さ。
本当に洞窟の中に居るかのような臨場感。
彼はよりリアルにショーヴェ洞窟を表現する為、撮影技術用ロボットを駆使したり幾何学研究者との繋がりからヒントを得て、360度の洞窟内部撮影を展開させている。
洞窟内部とは『鉱物的でありながら、体の内部にいるかのような有機的な感覚も感じられた』と彼は言う。
このようなラファエルの得た感覚は、インスタレーションの音楽へと上手く繋がりをみせる。
NASAで拾った音、そして女性の心音を上手く融合させ、新たな世界を再構築させている。
フロアには、W11.8m×H3.9mのコの字型の巨大4Kスクリーンが設置され、約45分間のショーヴェ洞窟内外の写真が映し出される。そしてその背後から原摩利彦の音楽が流れ、洞窟と一つになれたかの様な壮大な世界に包み込まれていく。
映像は、ダイナミックな洞窟内部に圧倒されつつ、刻々と変化する岩肌の表情が豊かで全く飽きない。
音楽との融和が絶妙で、非常に心地よい。
床には無造作にクッションが並べられ、皆、寝転んで作品を眺めるという鑑賞スタイルは個人的にとても好きだった。