早池峰神社へ参拝後、辺りをゆっくりと撮影へ。
早池峰神社周辺は、こじんまりとした集落があり、霧の彼方にあるであろう森へと通じる道が川に沿って遠くどこまでも続いている。
川のせせらぎを耳に遠い森へと進むものの、今にも雪の舞い降りそうな灰色の空は、どこか異次元へのベールで覆われているようにも見え少しだけ不安に。
暫くして、ひらひらと雪が舞い降りて来た。
凍えそうな手を握り締め、意識をそっと向こう側へ。
川のせせらぎは、何も気付かないフリをして淡々と音を奏でる。
何気ない水の音、どこか懐かしい。
それは、ずっとずっと記憶の先、まだまだお腹で眠っていた頃、そんな遠い昔をどことなく髣髴とさせてくれる調べなのかもしれない。
暫く歩いていると、一台の車が止まり「大丈夫?」と。
確かにこんな山道を地元住民で無い者が一人歩くのはかなり不自然なんだろう。
その車の方へ「大丈夫です」と応え、そのまま一人で歩く。
それにしても優しい心配り。温かい。
森はまだまだ深く続く。
この地から多くの喜びも悲しみも伝説と共に生まれている。
繊細な雪と共に浄化しながら静かに山へと還っていくのだろうか。