到着翌朝、今回の目的、附馬牛(つきもうし)の早池峰神社へ向かおうと思った。
早池峰神社は附馬牛線の終点”大出”にあり、遠野駅からはバスで50分ほど。
去年も向かおうとしたもの、バスのタイミングが合わず時間切れになった場所。
というのも早池峰神社へは交通の便があまりよくなく、日に三便くらい通っている貴重なバスを上手く活用するしかない。タイミングを逃すと悲しいトンボ返り。
バスの時刻表を眺めると、行きは何とか辿り着いても、帰りのバスが4時間後。
たまたま寒波の到来中だったこともあり、正直躊躇したものの、4時間雪の撮影すればよいか・・と思い、朝早めのバスで早池峰神社へ向かうことに。
バスの利用は地元のお年寄りの方が圧倒的に多い。
毎週、バス200円均一の日があり、その日に当たるとお年よりの方でいっぱい。
何をかくそう昨日お会いした、かわいい”魔法の杖”のおばあちゃんの姿を偶然同じバス内でみかけることができ、少しだけ嬉しくなった。
シャープな雪景色を窓越しに見ながらそのままバスに揺られる。
おばあちゃん、遠野病院で降りていく。
頭の中でそっとサヨナラ。
早池峰神社は終点、”大出”のバス停から徒歩3分くらい。外は寒い曇り空。
今回はたっぷり時間があるので震えながらも(笑)ゆっくり境内へ。
サラサラの粉雪を踏みしめながら鳥居をくぐると、茅葺屋根の神門がある。
謙虚で慎ましい佇まいは、古いながらも堂々とした気品を感じ、寒さを忘れる程澄んだ感動を味わうことができる。
女神様が鎮座しているのにふさわしい静かで控えめな空間。
雪の参道をまっすぐ進むと古民家風の古い拝殿、そして本殿が見えてくる。
本殿は初めて目にしてその風貌に少なからず驚いた。
かなり古いはずなのに、修繕は最小限に留めている雰囲気で、やはり控えめ。
去年訪れた"大迫"の早池峰神社の方が色使いも富んでいてどことなく華やか。
同じ早池峰神社でも月と太陽のように雰囲気が異なる。
裏と表とでもいうべきか。
寒いながらも森が近く静謐なその地は、自分自身の心もゆっくり整っていく。
自然を肌で感じることは、例え言葉が通じなくても、通じる何かがあると思う。
人がもう少し自然に寄り添って暮らしていた頃は、もっともっと言葉以上の豊かなものも享受できていたのではないか‥とも思った。