遠野の駅へ降りると、雪は新花巻と同じくらい残っていた。
気付くと辺りは暗闇に包まれ、流石に寒いので足早に駅の構内へと向かう。
外は寒い夜の冷気にも関わらず、そこは静かな暖かさに包まれた安堵感のじんわり広がる空間。少しの心細さと交互しながら、その空気に暫く包まれてみる。
構内は広めの待合にストーブや暖房が比較的充実していて、いつも束の間の緊張から解放される場所。少しホッとする。
東北の駅構内はとても好きな場所。
朝など駅に立ち寄ると、ご近所さん同士の屈託のない会話が聞こえて来る。
少し早めに駅に着いたとしても構内は比較的暖かいので、おしゃべりする人、読書をしている旅人、一人くつろぐお年寄りなど様々時間潰しできる。
私自身、出雲で育ったせいか、同じ”ずうずう弁”が聞こえてくるだけでも懐かしく、何処か故郷に帰ったような錯覚に陥ってしまうのもあるのか、音楽を聴くように音に聞き入ってしまう。これで方言がもう少し理解できれば・・とも思ったりするものの、独特のテンポを持つその音は、知識に頼らない素の音の繋がりを耳にするようでようで聞き心地もよい。
そうそう、頬かむりの可愛らしいおばあさん、同じく遠野で降りられた。
小柄でかわいいので、後ろをゆっくり歩いてみた。