いつだったか、大阪に何日か滞在していた時の事。
京都で行きたかった河井寛次郎記念館に行ってみた。
河井寛次郎は以前大変お世話になったUさんに素晴らしさを教えて戴いた陶芸家。
その作品は独自の創造と世界観と強い生命力を持っていたので、どこから生まれてくるのか自分の目で確かめてみたかった。
河井寛次郎記念館へは京都、京阪電車「清水五条」駅より徒歩15分ほど。
もともと自宅兼工房だった場所を残し記念館と名前を変えて公開している場所。
そこは大通りから一本細い路地に入り昔ながらの住宅街に慎ましく静かにたたずんでいる。
記念館はゆったりとした日本家屋ではあるのだけど、家そのものが河井寛次郎のよう。
こんな人に包みこまれているような気配と、存在感をどっぷり感じる家は初めてかもしれない。
記念館の中は、独特のレイアウトと自らデザインされた家具がどっしりと腰を下ろしていて、家具に触れると河井寛次郎と会話をしているような錯覚に陥る。
生活も仕事も人もおそらく大事にされていたであろう河井さんの息遣いまで聴こえてきそうな空間。
自宅兼仕事場、登り窯は、日常と自分の宇宙を上手く融和させていて、安らぎを感じながらも神聖な空気も漂っている。
時間を忘れさせてしまいそうな空間。
母屋を出た登り窯には神様が祀ってあり、仕事への心構えも伺える。
全てが生命力に溢れていて、美しくって、ことばで上手く言い表せない素晴らしい空間。
とても感動した。
幸せな一日だった。