車で細い山道を暫く行くと一軒家があった。
砂利の細い道で車一台しか通れそうもない、そんな道の先。
周りには小さな水田と深い森しかなく、
一軒家を過ぎても、心細い道はどこかへ続いているようだった。
幼心に何処へ続いているのだろう・・と不思議に思った。
その一軒家は、母の生家。
お盆とお正月に遊びに行くのが楽しみだったのだけど、そこは何処となく不思議な場所で、親戚の小母さんは、夜、赤い着物の幽霊を見たとか、狸に化かされたとか・・嘘だとも本当だともつかない話をよくしていた。自然や動物、血の繋がり等に対しての気持ちがとても身近なものだったのかもしれない。
ふとそんな事を思い出したのは、昨日母から一本の電話が入ったから。
母の生家のお婆さんが亡くなったという連絡だった。